憂うつ感や気分の落ち込みなどの症状が、なかなか回復しないことがあります。もし数週間も続くようなら、うつ病を患っているかもしれません。うつ病の原因は1つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合うことで生じます。原因を特定するのは簡単ではありませんが、早期発見と適切な治療を受ければ短期間で完治させることが可能です。精神科では抗うつ剤などを使用した薬物療法を中心に治療をします。症状の程度や環境による個人差はありますが、3ヶ月ほどで社会復帰できる人も珍しくはありません。しかし一度回復したにも関わらず、数年で再発してしまう人がいます。中にはわずかな日数で同じような症状に苦しまされる人がいますが、そのような人は完治してない可能性があります。何度もくり返しうつ病になる人は反復性うつ病です。反復性うつ病を患う人はそれぞれの症状の重さとは関係がなく、本人を取り巻く環境が影響している可能性が高いです。うつ病の発症にはストレスが大きく関係していますが、反復性うつ病の人はストレスフルな生活環境であることが考えられます。職場や家庭など、身の回りの環境についてチェックしておきましょう。そしてうつ病を予防するためにも、日頃からストレスを誘発する焦りや不安のないマインドフルネスな状態でいることが必要です。このマインドフルネスとは仏教における瞑想に由来し、医療現場においても積極的に実践されています。瞑想を通じて脳のトレーニングを重ねていけば、物事の本質に対する気づきを会得することができるので、迷いを解きほぐすことができます。
何度も再発する反復性うつ病は反復するという点で双極性障害とかなり似ています。双極性障害とは憂うつな気分と活動的な躁状態とをくり返す病気です。反復性うつ病では再発するまでの間は完全に回復しますが、双極性障害における躁状態ほどの高揚感はありません。そして反復性うつ病患者の中には各種抗うつ剤に対する抵抗性が完治できない原因となっている場合があります。反復性うつ病に対する治療は一般的なうつ病の治療と殆んど同じですが、双極性障害の治療に使用される気分安定薬のほうが効くことがあります。この病気は発症する年齢や重症度、持続する期間などについて個人差が大きく、男性よりも女性のほうが患う可能性が高いです。そして反復性うつ病と診断されたからと言って慌てることはありません。大切なのは主な原因となる環境の改善を進めていくことです。さらにうつ病の治療は本人だけでなく周囲にも大きな負担となります。この病気の患者は短期間で症状が変わるため、周囲の人から見れば、理解し難いことも多いです。しかし患者の言動や行動に振り回されることなく治療に専念できる環境づくりを心がけることが必要です。もし疑問や不安があれば、各自治体に設置されている相談窓口を利用することもできます。ここでは訪問だけでなく電話やメールでの相談も受付けているので、気軽に利用しましょう。このようにうつ病の治療は医療機関だけでなく、各方面の理解と協力を得ることで高い治療効果が得られます。例え何度再発しても決して諦めず、根気よく治療を続けましょう。